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夏海 漁の悪ガキワールド

舞台を新たに、第二の人生はやはりキラキラとした別世界。

検便の哀愁。

2006.10.23 (Mon)

昔の子供は、恥ずかしがり屋で潔癖症なところがあった。そんなふうだから小学校の6年間、一度も学校のトイレで大便をしたことがないというヤツが多くいた。それには、下水道が発達しておらず、多くの学校のトイレは汲み取り式だったことも影響していた。うかつにすると“オツリ”がくるからである。しかし、ほんとうのところは、大便をするという行為に、なにやら羞恥心めいたものがつきまとっていたように思う。

大便に対して、そうした偏見を持っていたボクらにとって、呪うべきは検便の日であった。前日、先生から渡された粗末なわら半紙の検便カードに名前を書き、マッチ箱の表面に貼りつける。その中へ朝一番のホカホカを入れ輪ゴムで止める。さらに臭いがしないように新聞紙にくるんで学校へ持って行く。とまあ、それだけのことだが、これが子供なりに屈辱的な作業だった。

親にやってもらうわけにもいかない。女の子にとってはなおさらのことだったろう。しかも検査の結果、回虫がいるとわかったらそれこそ絶望テキであった。誰かの自伝的小説かなにかに、犬のウンコを代わりに入れたおかげで、伝染病の疑いをかけられた豪の者がいたとかあったが、ボクらのまわりにそのような不見識なヤツはいなかった。

悪い虫がいると同級生に感づかれようものなら、カイチューなどとすぐにあだ名がつけられてしまう恐れもあったのだ。そうでなくとも、朝、便器にしゃがみ、割り箸でマッチ箱に運ぶ作業は、普遍的で想像力をかきたてる。
ひそかに憧れていた美人のあのコも、同じようにやっているのかと思うと、心が痛んだ。女も男も“下半身に人格はない”という言葉と出会うのは、まだまだ先の話である。

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コメント

バツグン! 抜群に当時のニュアンスがある。

「検便」に着眼するということ。さらに、それを、ほとんど理由のない羞恥心として語ること。実際、当時はそうだった。

リアルさとともに、過去を振りかえるところから生まれるユーモラスな感じ。

おもしろい。完全におもしろいと思う。

コメントありがとうございます。

おいらのブログにコメントありがとうございます。

昭和三十年代の懐かしさ(いちおう、おいらは40年代なので体験はしていませんが…)が感じられる内容ですね。

また遊びに来て下さい!!

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