昔遊びと悪ガキ

キラキラとした別世界。・・・今考えると、これほど外の世界が魅力的に感じた時代はなかった。

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不快な電報屋。

2006.12.21 (Thu)

電報屋の金切り声は不快でたまらなかった。電報屋という商売柄、時間に関係ない。昼間はともかく、夜中であろうが、雨や雪が降ろうが、嵐であろうが一切関係なくやってきた。殆どの場合、我が家には関係ないもので、峠の上の村に行く前に、必ず我が家に寄る習慣であったのだ。

それは母屋の端の便所まで響き渡るような、大きくて極めて不快な金属音であった。忘れた頃に突然やってくる彼は、無神経極まりなく、その声を聞くだけで家族全員縮み上がった。

まさに台風が通過しようとしていた日の夜中であった。夕方から叩き付けるような風雨で、さっさと雨戸を閉めて、飛ばされないように戸板を釘付けして、早目に床についていた。
そういう時に限って、不快で無遠慮な電報屋はやってくるものだ。
ようやく寝付いた頃、無遠慮に玄関を引き開ける者がいた。
「こんばんは。電報屋でーっす(キンキン)」
この金属音で、全員叩き起こされる。さも「ワシが働いてるのだから、起きているのは当然だ」と言わんばかりである。

父親は飛び起き、座敷の扉を開けた。父親は、嵐の時は必ず普段着のまま床につく習慣があった。
電報屋は、暗い土間で懐中電灯を無遠慮に向けた。そして、訃報の次第を告げながら、勝手に台所へ行きアルミ杓で水をガブガブ飲んだ。そして続けた。
「H川が氾濫してD町で人が流された。流されたのはH村(峠の上の村)のNさんの親戚らしい」

この台風で、H川の下流が氾濫してD町で、田んぼを見回っていたH村出身の人が激流にのまれて、行方不明になったという。
電報屋は杓をもったままの姿で、無遠慮に懐中電灯を向けて一方的に喋りまくり、玄関扉をガシャンと閉めて出ていった。
こうなったら家族全員、もう寝られたものではない。

後日、行方知れずの人の捜索は続けられたが、結局発見できなかった。
それにしても電話が開通しているのに、何故、あの不快な電報屋が走らなければならなかったのか、不思議でならなかった。

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