昔遊びと悪ガキ

キラキラとした別世界。・・・今考えると、これほど外の世界が魅力的に感じた時代はなかった。

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とんま天狗

2007.08.29 (Wed)

小学3年生の秋の頃であった。級友のヨシカズという子が、白い包帯で頭をグルグル巻きにして現れた。驚いたT先生がわけを訊くと、「とんま天狗」の真似をして転んでしまったのだという。眉間に皺をよせてヨシカズを覗いていた先生は、思わずのけ反って笑った。

「とんま天狗」。・・・ボクはそれを知らなかった。
隣接している村であっても、電波が届く届かないでは、子どもの間の話題がこうも合わなくなる。たかだか2キロである。
だが、2キロの距離が重要でなく、地形的に電波が届くか、山に遮られるかが問題であったことが後で分かった。

ヨシカズの住む高原の村は、標高的には高いところにあるが、電波を遮る高い山は殆どなかった。それに比べ、ボクの村は谷の底にあるようなものだから、いくら屋根の上にアンテナを立てても、電波など届く筈がなかった。だから、何百メートルものコードを引っ張っていって、裏山の山頂に立てていた。

それでも日本海テレビ(鳥取の局)とNHKの、2局だけであったし、台風や吹雪きの影響で、アンテナの向きが少しでもズレると、致命的なノイズが入り、画面が波立った。

当時、ボクたちの話題の中心は「まぼろし探偵」、「鉄人28号」、「ポパイ」であったが、ボクの村より3局ほど余分に電波が届くヨシカズの村では「とんま天狗」、「番頭はんと丁稚どん」、「ローン・レンジャー」、「ララミー牧場」、「少年探偵団」と、ボクの知らない多くの番組がもっぱらの話題で、その方面ではついて行けなかった。


とんとんとんまの 天狗さん 
とんまで オセンチ お人好し
にぎる刀は 大上段 
エイッ 悪人どもを なぎはらう
姓は尾呂内  名は南公 
子供が大好き ぼくらの仲間
とんとんとんまの 天狗さん

(ちなみに主人公の名前「尾呂内南公」は、「とんま天狗」のスポンサーの商品名「オロナイン○○○」からつけられたものだ)

ヨシカズたちが、いくら「とんま天狗」の真似をしようが、あの十円禿の丁稚どんの話しをされても、一向に分からなかったのである。

テレビ番組のことはさておき、T先生を笑わせたヨシカズの話しはこうである。
同じ村の悪ガキたちと「とんま天狗」ごっこをやっていた。主人公の「とんま天狗」役は誰がしたか知らないが、ヨシカズが斬られて倒れる役であったらしい。「とんま天狗」は明らかに「正義の味方」だから、彼は悪役であったのであろう。

彼は追い詰められて斬られた。そして、『や・ら・れ・た~!』と言って、その場に倒れる・・・振りをした。
倒れた場所が悪かった。不運にも尖った石があったのだ。
さあ、困った。村には産婆はいるが、傷口を縫う医者はいない。病院までは10キロはあるし、もちろん救急車があるわけがない。

まあ、昔の田舎はだいたいそのようなものであったから、毎日のように怪我をしていた我々ガキは、それくらいのことで病院に行くことは、まずなかった。
ともかく血止めをして赤チンをぬり、包帯を巻く。それが治療であり、それをすることで、子どもというものは安心するのだ。

余談であるが、僻地医療はおよそそういうアバウトなものであった。
怪我をすれば、とにかく赤チン。打ち身であればヨーチン。腹が痛ければ正露丸。山で怪我をすれば「よもぎ」の汁で消毒する。蜂に刺されれば小便を。と、だいたいそうだった。

常備薬はあったが、風邪薬や胃薬が主で、現代のような複雑でデリケートな病気も病名自体なかった。だから『体質に合せて・・・』みたいな分類もなければ、治療法もなかった。

ともあれヨシカズの後頭部の傷口は、パックリ開きっ放しで治癒した。後に残ったのは、三日月形に怪しく光る傷跡であった。そして、青白く光った月夜を見る度にヨシカズを思い出すのである。

tyanbara.jpg

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