昔遊びと悪ガキ

キラキラとした別世界。・・・今考えると、これほど外の世界が魅力的に感じた時代はなかった。

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その男−4

2013.07.15 (Mon)

(二)その男

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 秋は間近い。
 枯れ葉の混じる桜並木の下に濃紺の空が、そのまた下に中之島のビル群が、まるでブロックのようにびっしりと埋まっている。台風一過。そのビロードの青と競うように流れる雲が、いつもより激しく去っていく。ビルの谷間から次から次に湧き出る雲は、あっという間に地球の裏側へ消えてなくなった。
 杉田は二年前のある出来事が、頭から離れなかった。あの頃はこの激流がまだ、心地良かったと自分でも感じていた。自身が地球であり、総てがそこを中心に回っているのだという幻想。しかし、その地球でさえ星くずのひとつであり、宇宙の中のチリでしかないのだと、否応なく気づかされてしまったのだった。
 自分は今まで何を探し求めてきたのだろうかと、杉田は思う。仮にそれが幻想だったとするならば、では現実とは一体、何なのであろうかと思う。

 時折吹付ける風が、あたかもあざ笑うかのように、杉田の足下でクルクルと枯れ葉を操っていた。
 そう言えば杉田は最近、誰かと活きた会話というものをすることがなかった。無駄話をしなくて済むなら、それはそれで効率的でいいのだが、何か空しさだけが募ってしまうのだった。お得意での打ち合わせは、実に味気ないものである。もともと杉田は、おべんちゃらが言える性格ではないし、そこまでして相手の懐に入ろうなどとは思わない。それでもかつては冗談もいい、相手を喜ばす術も知っていたが、今はそれすらバカバカしく思えてならなかった。

 社会の力学は大きくふた通りある。ひとつは、力を持つ人とそれにあやかろうとする流れ。もうひとつは、それに組みしない、或は弾き出された人の流れである。杉田がそうであるように、人は誰もが弱い生き物である。だから知能という武器を手にしたであろうし、弱い生き物であるが故、狡く生き抜く術を身につけたのだろう。使い方はともかくとして。

 人間って嫌な生き物だと、杉田はつくづく思う。たとえば人を信じようとする時の、その基準である。それは自分自身で決めなくてはならないもの。しかし、多くの人間は曖昧さを巧みに活用する。つまり、自信がないのである。自信がないからこそ他人の顔色を伺い、求心力という幻想力学に身を委ねるのだろう。真実が何なのかを自分で考える前に、安っぽい噂を信じる。そんな生き方のどこが楽しいのかと、杉田は思う。


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