昔遊びと悪ガキ

キラキラとした別世界。・・・今考えると、これほど外の世界が魅力的に感じた時代はなかった。

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「そり」と救援物資。

2007.01.05 (Fri)

「全校生、速やかに講堂に集まるように!」
ぐうたらな正月も過ぎ、本格的な冬の三学期が始まった、ある日のことであった。教室がまだ暖まらない早朝、教頭先生のしわがれ声が校舎中に響き渡った。担任教師の姿がない教室内は、何ごとかとざわめき、落ち着かなくなった。週に一度ある朝礼の雰囲気と違っていたのである。

冷え冷えとした講堂に全校生が整列した。雪明かりが窓から射し込む講堂に、白い息が並んでいた。
「今日、10時に自衛隊のヘリが救援物資を運んでくるから、全員、蓮池に集合すること」と、教頭先生からの話しは至極簡単なものであった。
救援物資の投下は、自衛隊が演習を兼ねているらしく、村を挙げて参加せよとのことだ。こんな簡単なことなら、校内放送でこと足りるのにと、冷えきった講堂の中で不満顔が見え隠れした。

しかしボクは、自衛隊とかヘリコプターという言葉に、異常に反応した。しかも救援物資を運んでくるというのだから、何となく、ただならぬ気配を他人事のように感じたのだ。
緩慢な足取りで教室に戻る中で、ボクとT君は、F先生の制止も振り切って、真っ先に教室を飛び出した。

雪に閉ざされたボクの村は、文字通り「陸の孤島」となっていた。道路と田畑の曖昧な境界線は、馴れないと大きな事故に繋がる。しかし、ボクたちは容易く見分けることができた。目を瞑っていても歩けるほどだった。
村の真ん中を走るやや広めの国道らしき部分に、人ひとりやっと歩けるだけの雪道が一本。その足跡に戯れるかのように、野ウサギのそれがまとわりつき、山裾へと消えていた。

外界から閉ざされ、村がどういう状況に陥っているか。そして生死の硲に立たされたかも知れない大人たちの恐怖など、ボクたちには一切関係なかった。それより自衛隊とへりと救援物資だけが、興味の対象になっていたのだ。

ヘリが物資を投下させるには、それなりの条件が必要であって、山と校舎に挟まれた小学校のグランドでは危険極まりない。そこで村の一番上にある蓮池になったのだ。
お盆の頃には、一面蓮の花で覆われる。蓮池はグランドの3倍以上あり、冬には凍結して打ってつけの条件になった。
粉雪の舞う蓮池の周辺は、村びとたちで埋められた。池の端に大きい「ソリ」がロープで繋がれ、もう一本のロープは数人の男たちの腰に結ばれ、その端は群集に握られていた。ボクとT君は、その前で一部始終を見ていた。

ヘリが長い間上空で旋回していた。
蓮池の中央で松明の灯りが上がった。そして、上空の雲間から大きなヘリが現れた。ヘリは次第に大きくなり、粉雪を巻き上げ、雪面から2mくらいのところで静止した。胴がぱっくりと開き、大きな荷物が2つ3つと投下された。そして、あっという間にヘリは上空へ消えていった。

そりの作り方
(1) 足は厚さ4cm程度、70×15cmの板を2枚。
   雪着面の「そり足」部分の竹は、幅4cm、厚さ5mmくらいの薄さにして、釘で取り付ける。
   (竹は割れやすいので、あらかじめキリで穴を開けておく)
(2) 先端を半円を描くように板を切り取り、板に添わすように火に炙りながら曲げていく。
(3) 台座(座る部分)を取り付ける。台の幅は腰の幅に合わせて約40cm。
(4) 持ち手はどちらでもかまわない。

sori.jpg

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コメント

すばらしい。これだけで、20枚の短編になると思う。絶対に。

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