昔遊びと悪ガキ

キラキラとした別世界。・・・今考えると、これほど外の世界が魅力的に感じた時代はなかった。

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将太の夏休み(5)

2007.08.03 (Fri)

-------青大将-------

ドードーブチよりさらに山の方へ。将太の家は、村の一番奥にあった。中国山地に差しかかるこの当りから、急激に険しく傾斜していった。
春来川に沿って走る国道の片側は、深い崖が川に落ち込んでいた。その国道から脇道に入るとすぐに橋が見える。太い角材を四本渡し、その上に土を敷いて均しただけの粗末な橋であった。

以前は欄干があったようだが、老朽化が進み一ケ所欠片を残して既に無くなっていた。橋から下を覗くと、茶色く錆びた欄干が、河原に突き刺さっているのが見える。

将太の家は、その朽ちた橋のすぐ近くにあった。欄干を失った橋の四隅に、座ぶとん大の暗い空間があった。そこは年中暗く、ジメジメとしたシダが繁っていた。
橋ゲタには、昔から”主”が住みついていて、2メートル以上はあっただろうか、トグロを巻いて寝ている大蛇を、将太は何度も見ていた。

ドードーブチの橋ゲタ、そして将太の家近くにある橋ゲタ。この暗くて近寄りがたい空間こそ、子どもたちにとっての神秘的な場所であったのだ。
だが、「座敷きわらし」のような有り難い伝説とは少し違った。

〈田舎の家には、神聖なものとして昔から蛇を住まわせていた〉という話しがある。つまり、蛇を住まわせることによって魔除けとなり、幸福がもたらされると信じられていたのだ。事実、それが理由かどうか、幸運をもたらす小道具として、抜け殻をそっと財布に忍ばせる者もいるくらいだから。もっともその蛇は、青大将ではなく白蛇だという説もあるらしいが、どちらにしても曖昧なところはある。

将太の家に”主”が住みついていたかどうか、それは分からない。が、時にその形跡らしきものがあったのは事実だ。それは、軒先や樋で抜け殻を発見することがあったからだ。

“有り難い伝説”はともかく、あまり有り難く無い、複雑な思いをすることも、あるにはあった。
その頃、将太の家に限らず農家の殆どが自給自足を常としていた。鶏も同じであった。裕福な家庭は鶏小屋という立派なものがあったが、大抵の家庭では、庭で放し飼いにしていた。鶏は昼間、庭で餌をついばみ、夜になると縁の下(縁側の板間の下の空間)に入って寝た。将太の家もそうであった。

ところが、貴重な食料源の卵が、しかも幸運をもたらす筈のそれが、あろうことか、奪われる事件を目撃したのである。どこから侵入したものか、縁の下で産まれたばかりの卵をひと飲みして、瓢箪形に膨れた青大将が、大トグロを巻いて眠っていたのである。むろんこの青大将、追い出したりはするものの、決して退治しようなどとは誰も思わなかった。

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