昔遊びと悪ガキ

キラキラとした別世界。・・・今考えると、これほど外の世界が魅力的に感じた時代はなかった。

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ペグリスト(5) 

2008.11.18 (Tue)

砂漠02.jpg

 頭の中で響く高周波音は、先刻よりは小さくなっていたが、その代わり閉め切られた地下室だからか空気が薄く、その上、蒸し風呂のような暑さで動作が緩慢になっていた。しかも、灼熱の砂漠を歩いてきたせいで足下がふらついていて、もう歩けないのではないかと思った。

 片山が何をしようとしているのか分からなかった。何のために自分を、こんな妙なところへ連れてきたのかと、玉垣は内心、腹が立っていた。これ以上ここにいればどうなるか分かったものではない。

 亡くなった筈の片山に、自分が道連れにされてしまうのではないかと怯えた。自分の死を悟り、一代で築き上げた会社と代表の座を林に譲り、その片山の死の悲しみも癒えない内に、大震災によって彼の歴史そのものが、根こそぎ土佐堀川の底に消えたのである。

 容赦のない神の悪戯に対するせめてもの復讐か、それとも忽然と消えた、自分の歴史への執念だろうか。時空を超えて現れた彼の気持ちなど、玉垣には分からない。そして、自分が何故ここにいるのかさえ分からなかった。

 ひょっとして夢を見ているのだろうか? いやしかし、もし現実だとしたら片山は一体・・・。蝋のように脱色した彼の亡骸は・・・、あれは幻覚だったのだろうか。ならば自分は彼岸へ渡ってしまったということなのか?
 片山は、相変わらず黙ったまま、黒く滲んだクモの巣をまさぐっている。

 と、その手が突然溶けて黒いコンクリートの中へ消えていった。そして、それがあっという間に広がり、次の瞬間、壁の奥から強烈な光線が放射された。針のように鋭い光が、みるみる太くなって片山の翁面を照らした。

「社長、何をしてるんです?」
 玉垣は恐怖に怯えて、どっと冷たい汗が噴き出した。
「やめましょう、社長。もう帰りましょう」

   つづく
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