昔遊びと悪ガキ

キラキラとした別世界。・・・今考えると、これほど外の世界が魅力的に感じた時代はなかった。

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ペグリスト(6) 

2008.11.19 (Wed)

神殿01.jpg

 強烈な光に照らされた片山の顔が、玉垣の方へ振り返った。そして、左手が伸びるといきなり手を捉えた。あっという間であった。
 玉垣は両足を踏ん張って抵抗したが、片山の、思いのほか強い力に、なす術もなくとうとう引き込まれていった。

 放射する光はますます大きく膨張した。目を開けていられないくらい強烈な光線の中に、二人とも吸い込まれていった。玉垣は腰が抜けたように、その場にうずくまった。乾いた砂の臭いがして、片山の顔がすぐ目の前にあった。

 玉垣は、渾身の力で片山の手を振りほどこうとしたが、巨大な岩のようにびくともしない。
「社長、・・・いったい僕をどうするおつもりですか?」

 玉垣の必死の抵抗にもかかわらず、片山は翁面の中にある目が、ますます消え入る前の三日月のように細くなった。
 その口がもぐもぐと動いて何か言っているようであったが、声にはならない。独特な優しい微笑みが、ともすれば悲しそうにも見える。

 光が揺れている。
 風の音が聞こえる。
 脇の下へ滴り落ちる冷たい汗が、止めどもなく流れてTシャツに沁みる。不快極まりなかった。
 
 風が吹き荒れている。
 その風がどんどん近づいて、耳のすぐ傍をすり抜ける。光はついに、二人を飲み込むほどの大きさに広がり、地下室が真っ白に照らされた。
 と、片山の左手に強烈な力が加わった。玉垣は必死に抵抗したが、ずるずると引き込まれた。
 
 片山の身体が光の中へ、半分溶けて消えかかっている。
「待って・・・、待ってください、社長!」
 玉垣は思い切り足を踏ん張った。が、しかし抵抗すればするほど、片山の術中にはまるのだった。

 パリパリと金属音が聞こえた。何か重い金属を引きずっているような音であった。その音が大きくなったと思ったら、あっという間に止んだ。
 すり抜けるような感覚が残った。

 意識が遠のき、無重力空間を浮遊しているような気がした。ぷよぷよしたゼリーか真綿の中を泳いでいる。いくら力を入れようとしても、身体の自由を奪われて、流されるままであった。片山の握る手が、ガッチリと歯車のようにはめられている。
 強烈な光線に吸い込まれていく。ものすごいスピードである。そしてついに、玉垣は意識を失った。

 どれほど時間が経ったのだろう。シャーシャーと耳の奥が鳴っている。まるでセミの声のように。
 玉垣は細く目を開けた。痛いように真っ白な光線が緩み、光の幕の向こうに淡いブルーの影が映った。片山は、その影に向かって泳いでいる。

 ブルーの影が、みるみる濃くなった。それと同時に、真っ白な靄が晴れ、まぶしいような青空と、その下に果てしなくっ広がる砂漠が映し出された。
 砂漠の風紋に、二つの影がゆらゆらと這って、何百もの丘を越えた。
 
   つづく
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