昔遊びと悪ガキ

キラキラとした別世界。・・・今考えると、これほど外の世界が魅力的に感じた時代はなかった。

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ペグリスト(7) 

2008.11.21 (Fri)

神殿02.jpg

 自分の意思と関係なく、浮遊し、ゆらゆらとしているその自分の影を、また別の自分が追っている。痛みや苦しさや圧迫感はない。たぶん、麻酔にかけられていながら、視力だけがまともな状態といった感覚といえば分かりやすいだろう。

 眼下を網の目のように這う風紋の陰影が、マルチストボロボで見る映像に似ていた。綿のような白いガスが、片山を見え隠れさせていた。そして、彼の左腕がガッチリと玉垣の右腕に食い込んでいた。今振りほどけば、たちまち奈落の底へ逆落としになってしまうだろう。

 琥珀色の砂漠が、徐々に赤茶色に染まっていく。その遥か向こうに、赤い太陽が、同じ色の空に溶けていて、今にも漆黒の闇に沈もうとしていた。強烈な赤い光線が、玉垣の肉体を串刺しにして、焼き焦がそうとしているようであった。

 この浮遊が心地よいとさえ感じた。深い眠りに落ちた時にある、まるで瞼の裏の泡沫夢幻の中にいるようであった。泡のように弾けてしまうかも知れない。だがこの心地よさが永遠であればいいと。生きることの辛さを思えば、自分の意思に反していても、それはそれでいいとも。

 玉垣は夢の中を彷徨っていた。だが、それは突然起こった。

 鼓膜の射抜くような破壊音と同時に、全身に激痛が走った。
 目から火が出るような痛みに唸りながら、接着剤でかためられたような瞼を、無理矢理こじ開ける。溶鉱炉と化した映像が映し出されたそこは、どこかの神殿のようであった。写真であったかテレビの中であったか、古代ギリシャ時代のアクロポリスのような。

 そしてその背面には、石造りの広大な古代都市が、地平線に沈む太陽に溶けていた。赤い夕日が大理石の床を、まぶしく照らしている。

 玉垣は、痛む身体をゆっくり起こして、赤いピャンバスをはめ込んだ巨大な石柱に歩み寄った。石柱の前には幅広の階段があった。階段を10数段上がると、そこには背丈ほどの式次第のようなものが立っていた。石造りであった。

「しゃ、社長・・・ここは・・・」と振り向いて、玉垣は驚いた。
 片山の姿が消えていたのに、初めて気がついた。

つづく

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