昔遊びと悪ガキ

キラキラとした別世界。・・・今考えると、これほど外の世界が魅力的に感じた時代はなかった。

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精力増強・滋養強壮のむかし

2008.12.18 (Thu)

mamusi.jpg

妹を出産してすぐに野良仕事に出なければならなかった母は、間もなく心臓を患ってしまった。出産してすぐに働くなど、今では考えられないことだが、昔は、それが普通であったらしい。

「子どもを産んだくらいで、寝てばかりいるな」とか、「病気でもないのに・・・」と、怠け者扱いしていた祖父は、人の意見をまったく受け入れない頑固で横暴で、その上、圧政を欲しいままにしていた。理不尽の概念を持たなかったのだろう。

ボクが物心つき始めた頃は、既に母は寝起きを繰り返すほど病弱になり、あれよあれよという間に進行していった。町医者から手渡されていた薬は、常に手放せなくなっていて、残り少なくなったというだけで、恐怖に怯えた。

そんな神経質な性格だから、薬に関するあらゆる情報は、敏感になっていた。「何々はどこに効く」とか「これをこうすれば体に良い」などと耳にすれば、すぐに実行していた。

ドクダミ、ゲンノショウコ、センブリのような薬草の他に、マムシ、スズメバチ、更にはモグラの薫製と、わけの分からないものまであった。
センブリはなかなか手に入らなかったが、同時に、ドクダミやゲンノショウコは知る人ぞ知る漢方薬で、あちこちに自生していて、すぐに手に入った。

梅雨時から夏場にかけて、一気に成長するそれを、農作業の合間に採り、天日に干して煎じて飲むのである。”ドクダミ茶”として、ドラッグストアや地方によくある「道の駅」などに売られているものと同じだ。

マムシに関しては実に奥が深く、精力増強、滋養強壮として、現在でも多くの利用者がある。「マムシ酒」がその代表である。「マムシ酒」は、生きたまま一升瓶に入れ、焼酎浸けにしたものだ。

その有様は目を背けたくなるほどグロテスクで、こんなものが薬なのかと、初めて見る人はまず信じないだろう。味はどうか?と聞かれれば、実は未成年ながら何度か飲んだことがある。言わずと知れた焼酎の味なのだが、何となく薬臭さの残る妙な味であった。後年、◯◯漢方の「赤まむし」とかいうドリンクを飲んだことがあるが、ちょうどそんな味であった。

マムシは相当生命力が強い生き物らしく、瓶の中に完全に焼酎で浸さないと、焼酎を飲み続けながら呼吸して、数ヶ月も生き続けるという話しがある。現にそういう、うっかり事故が発生しているという。もっともこれは、マイナーな情報であるが。

一方で、「マムシの干物」らしきものもあった。何しろ、皮と内蔵以外は全て利用できるのだそうだ。ある地方では「蒲焼き(皮と肉の間に寄生虫がいるらしいから注意)」にして食べるところもあるようだが、ボクの村では、もっぱら「干物」が主流であった。

「干物」の方法を簡単に言う。毒抜きの後、ウナギ料理の要領で目打ちをしてから皮を剥ぎ、内蔵を取り除く。内蔵の中にある黒豆大の「ユ(胆嚢)」というものを、「干物」にする前にまず丸呑みした。
皮を剥がした後、寄生虫がいないか点検する。それから首を切り落として天日に干すのである。

干す期間がどれほどだったか分からないが、ともかく水分が完全に抜けた時が食べ頃と思えばいいだろう。乾燥したそれを七輪で軽く炙り、そのまま食べるのだ。「元気がでるから」と母から言われ、ボクも何度か口にしたことがあるが、何となく、骨っぽい棒ダラのようなものであったと思う。

薬草やマムシに関しては薬効があるようだが、「モグラ」が何に効くのか、不思議でならない。
モグラは地中に住む小動物で、農家にとっては、厄介者として嫌われていた。彼らは目が見えない。せっかく丹精した農作物を狙って、せっせとトンネルを掘るのだ。トンネルは彼らの道であって、目指すエモノまでの道を、日々往来する習性がある。

彼らを捕獲するには、缶詰の空き缶をトンネルの途中に埋め、待ち構えるだけでいい。目が見えない彼らは、まさかトンネルに罠が仕掛けられているとは思わない。それで、ついそこにおちてしまうのだ。彼らの足はトンネルを掘るためにのみあるわけで、罠から脱出する術を持ち合わせていない。

生け捕りにしたモグラは、首を絞めてから洗った。そして再び缶に入れられ、炭火によってゆっくりと丸焼きにされるのである。モグラはやがてタドンのように黒焦げになる。母はそれを粉末にして、口を真っ黒にしながら飲み込んでいた。

我が家の水屋の中は、焼酎の臭いにあふれ、一升瓶にはグロテスクなマムシが腹を見せ、そして、軒先にはひからびたマムシ。台所の隅にはドクダミの袋と、ボクの幼児期の記憶の中は、マムシ酒と薬臭さで充満しているのである。

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コメント

No title

こんばんは♪
まむしのお酒は、ソフトの試合前日に騙されて?飲みました。監督が・・・元気が出るしって・・・ね。
それ以来、一度も、ないですよ。
お母さん・・・なんでも、いいから、効くから、
それはあり、でしょうね。それで、お元気になられなかったのは、残念なことでしたね。
悲しい思い出ですね。
小さいころから、いろいろ、かんがえさせられたんですね。(涙)
今でも、田舎では、まむし酒はあり!なんでしょうね。見るのも嫌ですが。。。。

刺激になります

一升瓶に入ったマムシ酒は飲んだ事はないが、傷口に塗られた事が在る。家庭薬と言えば「富山の置き薬」が全盛時。身体の調子が悪い時に「オブラート」と言う薄い透明に近い薬を包むものにマムシの粉を乗せて飲まされたこともありました。粉はしけらないようにブリキのような金属の筒型に入れてありました。
秋葉原・松屋よりのガード近くに、大きな竹篭に「蛇類」を入れたカゴがあり、病気に合わせての「蛇料理」の店がありました。今でもあるかな。ここにはマムシのステーキなる御品書きを見た事が在りました。
民間治療薬の中では貴重なモノがマムシだったんだなと思い出されました。

前回の「厠の話」は、読んでいるうちに、当時の空気が感じられ、怖くなりました。
そう言えば、脚が弱くなったのは「ウンチング」スタイルから座る便器になったと言う説があり、私もそうだ、そうだと力説しております。
便所と暮らしの文化はとても大切な民俗学だと思っております。研究して暮らしとの関係を書いて教えてください。
「歩く」のことは我輩の17日あたりに記載しました。ご笑覧あれ。

No title

ほのぼのさんへ

こんにちは
あたたも「マムシ酒」飲まされましたか。
あれは臭くて飲めません。でも、スズメバチの蜂蜜浸けは美味しいですよ。きっと気に入ります。是非試してみてください。


中年不良探偵団さん

中年不良探偵団さんへ

地方によって処方が違うんですね。傷に効くとは知りませんでした。それに、マムシの粉をオブラートに、ですか? それも初めてです。
「富山の置き薬」は、私の田舎にも年に何度か見えていましたよ。何ていうんですか、あの入れ物。7~8層の竹籠(?)になって、下からだんだんと小さくなる入れ物でしたね。よく憶えています。一番上の籠にはオマケの玩具が入っていました。風船などが入っていたと思います。

そうですか? 「ウンチング」スタイルから座る便器になったから脚が弱くなった。それは確かに言えるかも知れません。暮らしが便利になり、ひたすら「楽」を追求してきた結果、長生きできるようになった。でも、その反面、身体が弱くなった。使わなくなった部分は退化していくのでしょうか?

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