昔遊びと悪ガキ

キラキラとした別世界。・・・今考えると、これほど外の世界が魅力的に感じた時代はなかった。

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アンバランスな「先進国」。

2009.05.06 (Wed)

ジャコ0006.jpg

新井(にい)へは一年ぶりの帰省。もともとボクの生まれ故郷は、山陰の温泉町(現新温泉町)であった。実家があった村の国道が、改修工事によって、屋敷の移動を余儀なくされたのをきっかけに、思い切って農業を捨て、播州・新井へ引っ越した。それから30数年である。

80才半ばにさしかかった両親は、山陰の厳しい生活から一転、温暖でのどかな村で隠居生活を送っている。ここは、時間が止まったままである。都会生活が長いボクにとって、イヤになるくらい一日が長い。しかし、寿命を長くするには打ってつけの場所であろうことは、肌で感じる。
(実家近くの川でジャコ釣り)
ジャコ20004.jpg


とはいえ、長年の悩みの種であった墓地の移転手続きと、3月に急死した従兄弟の、最後の法要をしなくてはならなかった。従兄弟の家は山陰の西、浜坂から数キロの町にある。

中国縦貫道以北、ことに播但の北部から但馬にかけては、急速に過疎化が進んでいる。国鉄の民営化以来、鉄道の間引きと縮小、グローバリズムによる産業の空洞化。農業、漁業、林業などの一次産業の崩壊から、若者の農業離れは、日本中の過疎地で深刻な問題になっている。

40~50件ほどの村落が点在する新井周辺は、家屋数に不釣り合い幹線道路が、縦横無尽に走っている。旧道沿いの商店街は何年も前からシャッター通りと化し、新道沿いに次々と進出していた飲食店や量販店は、開閉を繰り返している。10件ほどあった酪農家は去年、とうとう全滅したという。荒れた田畑が目立つ。後継者がいなくなったに違いない。
(無人と化した牛舎)
牛舎0002.jpg


老いた父が言った。「お前たちは、ずっと大阪に住むのか?」と。ボクは「分からない。決めていない」としか応えられなかった。考えていないわけはない。だけど、今は実家に帰れない。帰ってもすることがないのだ。

今回、墓地の移転でお世話になる某氏の話しも、限りなく深刻だった。70才半ばだろう彼は、去年、とうとう稲作を諦めたという。
話しはこうである。秋の収穫が終わり、その年の収入から肥料、農薬、燃料などの経費を差っ引いて、次年度の若苗を仕入れると赤字が出る。人件費はともかく、毎年赤字が出るくらいなら、いっそ米を買って生活した方が楽だと。

田舎の小規模農家は、年収300万がほぼ限界だと聞く。その300万が赤字を生むためのもの、しかも辛い目をしてまでするなら、買った方がどれだけ楽か、である。だから、農業を専業としている家庭は殆どない。
米作りの傍ら、日雇いや近所の食堂に賄いに通う。賄い事がある者はまだいい。中には親の年金で生活している40、50才代の働き盛りが大勢いると聞く。この国は、一体どうなっているのかと思う。

都会で暮らす定年間近な中年の多くは、田舎暮らしを夢見る。ボクもその一人である。そしてその田舎暮らしの条件はと言えば、田舎で暮らす年寄りにしてみれば、実に馬鹿げたものかも知れない。

自然が豊かで、空気と水が美味しい。小さな菜園があって、海の幸が手に届くところにあり、しっかりした行政のもとで、いざという時の病院が近いこと。そして、温暖で交通便が比較的よくて、できるならば一時間ほどで都会へ出られる。更には本屋と映画館があれば、などなど、わがままだらけの「夢」である。

しかし、そんなパラダイスのような田舎があるのだろうか、と思いつつ浜坂へ向かった。播但線新井駅から山陰の浜坂までの直行便はない。新井―青倉―竹田―和田山(乗り継ぎ40分)―養父(やぶ)―八鹿(ようか)―江原―国府(こくぶ)―豊岡(ここで乗り継ぎ30分)―玄武洞―城崎温泉―竹野―佐津―柴山―香住―鎧(よろい)―餘部(あまるべ)―久谷―そして、浜坂である。新井を出発して、延々3時間20分の長旅(クルマで、ゆっくり行っても2時間)であった。

この長い車中はさすがにうんざりした。浜坂で帰りの便を見るついでに直行バスがあるか確認する。和田山経由の福知山から神戸行きの特急バスは、少々高くつくが2時間ほどで帰れると聞き予約。

タクシーを飛ばして、慌ただしく従兄弟の家へ行き、法要を済まして駅で時間待ち。港近くの鮮魚店まで歩いて15分。そこでとれとれの魚と、佃煮のお土産を買い帰路についた。モノは新鮮だが、原産地なのにそれほど安くない。むしろ、遠く大阪の方が安いというのは不思議な現象である。

「作る」より「買う」方が安く、原産地より都会の方が安い。そして、意味不明の賞味期限と流通規制の傍らで、生産者より一部の企業や利権者を優遇する、この国の有り様、これを果たして先進国だなどと言えるのだろうかと、そんな旅であった。

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コメント

お疲れ様。

ロック青年でしたか。
今回の帰省録、状況ロックの面白さ。地方の疲労度の深さが判りました。地図を眺めながらの記載読み。なるほど播磨線のローカル度数が垣間見れました。京都駅から宮津を経て浜坂へ更に下る寅さん稼業では驚くばかりの時間の消化、京都駅ホームは0番線となっていたのにも驚く都会モノ。貴兄帰りの福知山経由の高速バス、未体験ながら綾部乗り換えの福知山へは数回訪れている。小京都と宣伝は盛んだったが、大昔に戻ったような風景。ここの牛は「神戸牛」の名前になり高額に、地元では肉よりもモツが貴重品。確かに都会の焼肉屋とはふた味も違う。
大阪からの新幹線路線、在来線の駅とつながる辺りは「繁栄」したが、駅と駅の間がタクシーでと言う場所は寂れてしまったのは事実だった。瀬戸内側を走る線路。日本海側に行くには縦断高速バスぐらいしかない。萩へいくのにも苦労した。バブル時代でもこうなのだから、不況になれば在来線の経済的な理由から廃線が続く。全国で悲鳴が上がった。新しい実験もある。電車が線路がないとこはバスになる。どうしても困れば知恵がでる。他人任せのある意味での悪い癖を持った「国鉄」も民営化になり必死だが、まだまだたりない。都会の極端な満員はどうするのか。私たちは倉庫と言う会社に出向く「家畜」ではなかろう。詰め込むだけが答えではない。
「田舎暮らし」の雑誌反乱時代は終り、貴方の言うように「夢のような」田舎は見当たりません。団塊世代の編集による「脳味噌の薄さ」が不況のお陰で炙り出されたご時世で、田舎暮らしを煽る悪い癖はやめたほうが良いと声をかけたいものだ。ご自分は「都会暮らし」を満喫しながらの「腹芸」では、雑誌も売れませんよ、と。

こんばんは♪

従兄弟さんの法事に帰っておられたんですね。
田舎をまじまじと・・・ってとこですね。
でも、暮らす人の思いで、田舎もずいぶん変わるなって、のが、私の考えです。

No title

中年不良探偵団さん

そう、ロックバカでした。
あの頃は、ヒッピーというのが我々の中で美化されていましたから、背中まで届くロン毛に汚い裾広のジーパン。ヨレヨレのジージャンに鎖のブレスレット。レーバン擬のサングラスに、何故かゲタ履きで、町中や電車の中をガラガラいわして歩いていました。笑うでしょう?

No title

ほのぼのさん

残念ながらマジマジと見る時間がなかったです。
特に会いたい人もいなかったので、海を見て、鮮魚店で買い物して、浜大根(浜坂の名産らしい)のうどんを食べて、ケッタイな一人芝居を見て帰りました。

浜坂港の近くの「渡辺水産?」でしたか、そこに竹輪の試食コーナーがあってね、滅茶苦茶美味しかったので買って帰りました。
帰って、そのパッケージを見ると、これまたびっくり。ボクの同級生(たぶん今、社長やってるでしょう)の店の「米寅の焼き竹輪」でした。

その店の看板、ボクが大学時代の夏休み、クニに帰った時にアルバイトで描いたことがあります。
もうその看板はないと思いますが。


No title

説得力がある。夏海さんの思いがストレートに伝わってきます。

豊かさはいい、だが、それは麻薬のようなもので、もう貧しさには還れない。どこか、ほんとうの豊かさへの惜別の匂いがある。


コメント、ありがとうございます。泥酔さんへのコメントを見させていただきましたが、ほう、夏海さんはロック青年だったのか!と思い、そうか、海賊魂はロックヤローの心意気なのかなあとも思いました。

海賊といえばジョン・シルバー、キャプテンクック…。いろんな海賊があるのでしょうが、ロック海賊とは新しい発見でした。ははははは…。

Fさんのメアド、ありがとうございます。

No title

nineupさん

「豊かさは心の中にある」と言います。
確かにそうかも知れない。でも、経済的にゆとりがあるにこしたことはないけど、裕福だから幸せだとも思えません。

「豊かさは心の中にある」などと言える人は、困っていないから言えるのだと言う人もいる。
価値観の違いかもしれないけど、分からないでもない。まあ、その辺よく分からないのですな。

最近よく耳にする言葉で、「仕事が忙しくて、肉体的にはしんどいけど、ヒマな時のストレスより、遥かに精神的にはラクだ」と。
ボクもそんな時がありました。
でも、E-Janどうにかなるさ・・・。



No title

それでもやっぱり自然の中で暮らしたい。
暑さ寒さに耐え、
自然災害や獣虫害に対策を練り、
雨や風の臭いを肌で感じて暮らしたい。
もちろん現代の文化を捨ててまでとは思わないけど、
都会の便利さや情報に惑わされず
大地に立つ自分の原点を持っていたいですね。

No title

DAIKさん

>それでもやっぱり自然の中で暮らしたい。
当然です。コンクリートの中でこれ以上はしんどいですね、ほんと。

ところで、考えてみたら鳴門金時をプランターで、というのは、やっぱり止めます。今日、これからホームセンターへ。さすがにベランダを土で埋めるのはちょっと・・・。

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