昔遊びと悪ガキ

キラキラとした別世界。・・・今考えると、これほど外の世界が魅力的に感じた時代はなかった。

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ほっぺたが落ちる シリーズ第4弾(地蜂)

2009.05.15 (Fri)

「そら行け、漁!」
という声とともに、父とボクは青空に消えていく白い”点”を追いかけた。
国道を横切り、田んぼの畦道を、両手を広げてバランスをとりながら走る。土手をいくつも越え、雑草をかき分ける。

白い”点”を見失ったらお終い。一からやり直しなのだ。
父の走りは滅法早い。ボクは、その”点”を追いかけるより、父の後ろ姿ばかり追いかけるのに必死になっていた。何度か転んだが、父は振り向きもせず、一点を見つめて走っている。

いつしか薄暗い薮の中へ入っていた。全身汗みどろになり、頭はクモの巣だらけ。泥だらけの手や足。擦り傷に汗が沁みてヒリヒリした。
と、暗い雑木林の中で、父は中腰になって固まっていた。
「シッ、動くな!」

ボクは、父の視線の先を注意深く見た。腐ったケヤキの切り株の上に、濃緑色の葉が重なり、木漏れ日が点々と落ちている。どこからともなく、ウ~ンという羽音は聞こえた。

「父ちゃん、あった?」
「おうや、そこの葉っぱの下や」
父はポケットから、セルロイド製で使い古しの歯ブラシとマッチを、足下に置いた。そして、蜂を刺激しないようにそっと葉っぱを捲った。
「おう、あったあった、ここや!」

ケヤキの根は苔が生えて、落ち葉が重なっている。その隙間から数匹の黒い蜂が出入りしていた。
「こりゃ大きいぞ。漁、この袋かぶっとれ!」
手渡されたのは、タマネギを入れるオレンジのネットであった。それを汗みどろの頭からスッポリかぶって、父のうしろで見ていた。

父はベルトから鎌を抜き、巣を覆っている枝をはらい落とした。落ち葉を静かにかき分けた。ケヤキの根本に親指ほどの大きさの巣穴があり、入り口からチョロチョロと蜂が顔を出す。ただならぬ気配に蜂たちは警戒色を帯び始めた。

父はセルロイドの歯ブラシに火をつけた。白い煙を上げて、地蜂の巣穴へ吸い込まれた。
「よっしゃ、これでええ!」

jibachi.jpg

地蜂とはクロスズメバチのことで、地面の中に巣を作るところから名付けられたのだろう。冒頭の白い”点”とは、巣に帰る蜂の胴(細いところ)につける目印のことで、軽くて白い小包ひものようなものを使っていた。セルロイド製の歯ブラシは、瞬間的に蜂を眠らせるための小道具であって、決して死なせるためではない。蜂が暫く眠っている間に土を掘り起こして、巣をごっそり頂くのだ。

掘り起こした巣は、洗面器に二杯分はあった。それを、ボクがかぶっていたネットに入れた。まるで戦利品を手にした武者のように。

栄養源の少なかったボクの小さい頃、地蜂の炊き込みご飯やデンデンムシ、タニシ、イナゴ、それからカミキリムシの幼虫を食べていたという話しは過去にしたが、この地蜂の炊き込みご飯は絶品であった。他に、佃煮や素揚げにすることもあったが、やはり炊き込みご飯である。

youtyu.jpg

作り方は簡単である。巣の底を火で炙り、底をトントンと叩くと幼虫が落ちてくる。幼虫をフライパンで炒めて、砂糖、酒、醤油で味付け。あらかじめ出汁を入れた釜ごはんの中に入れて、普通に炊くだけである。

芳ばしい香りの中に、甘さが渾然一体となる。まず五つ星に勝るとも劣らない味である。
後年その話しをヨメの菜緒にしたことがる。菜緒は顔を歪めて吐くジェスチャーをしたのだが、まあ、食べず嫌いというべきか、もしあの美味を知らないで人生を終わるとしたら、いかにも不幸だと言えなくもないが。

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コメント

No title

それでハチの抗体持ってるんですね。
また今度カレーの「ハチ」行きましょか♪

地蜂の炊き込みご飯、食べてみたいな~~
いいな~~~。。

No title

DAIKさんへ

地蜂の炊き込みご飯、是非食べてみてください。
もうすぐ、梅雨が終わって夏が始まる頃、ハチの季節になります。地蜂の季節がいつ頃だったか、はっきりしないのですが、たぶん夏休みの頃には巣も大きくなるでしょう。

ボクの父は、魚の生肉(イカが多かったかな?)をよく使っていたと思います。
それを小さく切って、ハチの集まりそうな場所に置いておき、肉の欠片を持ち去る前に、生け捕りするのです。そうして刺されないように目印をつけます。

目印は、白い小包ひも(できるだけ軽いもの)を細く切って、ハチの胴に結びつける。エサはくわえさせたままですよ。

それからハチを放しますが、そこからが大変です。
決して見失わないように後を追いかけます。

DAIKさんの秘密基地の周辺にはきっとあると思いますよ。健闘を祈ります。

カレー、行きましょう。




No title

こんばんは♪
もう、想像しただけで、ダメですね。
蜂の子の写真もダメ!
栄養源だったのですね。

No title

それ、テレビで(鉄腕ダッシュ)で見たことがあります!
でもプロの仕事で普通の親子がすることとはとても思えませんよ。


普通の親子じゃない!?

No title

メール、ありがとさん(ン! お互い大阪弁でやる感じなんかなあ。)

ほんま、お茶したい感じやけど、もうちょっと待って。
今、母を一人にしたくない感じがありますんで。

「明日のワカメ採り」へのお誘いだったのかなあ。
申し訳ありません。…じゃなく、すんまへん。
ワカメ、どうでしたか? …じゃなく、どうやったん?


このブログ記事の、こういう描写は抜群やなあ。
(無理して、大阪弁にしてたら、なんかギコチナクなってきたぜ。)

ドウドウブチのタッチ。
パッパッパッと前にすすんでいく感じ。
実際、その場で説明しているヒマなんてないんだから、説明は後でまとめてする。
この描写と語りの呼吸が、いい感じです。


余談。

テレビを観てたら、「剛柔流」の道場が出てきた。
このときの説明では、剛柔流とは沖縄空手の古武術の流れにあるということだった。

ぼくは甲野善紀に興味があって、いくつか本を読んでいる。
彼は日本の古武術の「術」や「ワザ」の継承をしようとしている人で、
現代のスポーツ科学(初等物理学程度での理解)にも、
現在の根性主義=気合だ!な体育会系的スポーツにも、
「NO」と言ってる人です。

夏海さんと違い、スポーツ音痴のぼくは理解度は低いと思うけど、
でも、甲野善紀はおもしろかった。
古武術の、初等物理学では解明できない、あるいは、初等物理学ですら解明できる
「術理」が古武術にはあるらしい。

で、剛柔流の奥義みたいなものを知りたいんだなあ。
スポーツ音痴の、ぼくが。
ぜひ、教えて欲しい。


…ぼくは「スポーツ音痴」と主張してきたけれど、でもね。

ぼくは小学生5~6年生のときは、クラスの相撲チャンピオンになったときもあったんだぜ。
(実際のところは、2~3~5番程度だった。相撲だから番狂わせがあるからなあ。体操の時間にチャンピオンになったのでした。)

ぼくは中学生のとき、三段跳びでクラスでギリギリの最高の上位にいたんだぜ。

中学生になると、圧倒的に凄いヤツとそうでないのとに分かれてしまうところがある。普通はなんてことない友だちなんだけど、その運動の遊び(たとえば三段跳び)となると、圧倒的な能力の持ち主である彼らは、一般学生がやっている遊びに参加してこないということがある。今から考えれば、おもしろいことだなあ~と思う。当時における、中学生共同体での一種の「礼儀」だったのかもしれない。

ぼくは、一般学生が休み時間に遊ぶ「三段跳び」で、いつもナンバー5までにはいた。ともあれ絶対上位にはいた。

中学生レベルはこんな感じだったけれど、高校になるとこの格差は圧倒的の2乗も4乗にもなる。甲子園への大阪の地方予選にわが高校はベスト8になったことがある。そのときのピッチャーとは親しく話したが、でも、彼の投げる球はほとんどプロであった。一般の高校生にとっての印象だが。

バスケの選手でも思い出がある。当時にあって180以上の身長であった。高校生がよくやる休み時間の教室の後ろでのホタエで、彼とぼくは接触したことがある。すごい長身でヒョロヒョロのように見えるのだが、彼がちょっと触っただけでぼくが吹っ飛んだほどの力だった。

高校生になると、運動能力では生徒が体育の先生を越えている。

とまあ、こんな記憶があります。大学になるとこの傾向は絶対的になり、大学近くの細い道を歩いてたら、畳みたいな男がむこうからやってくる。相撲部だったのか、アメフト部だったのか…よくわかりませんが、もう、ほとんど違う人種のように思われました。


ははははは…。話がズレてしまいました。

言いたかったのは、中学程度では、まあ、ぼくは一般学生のなかでの普通レベルだったということ。…というようなことです。そして、この格差は歳とともに開いてくるということもあります。

夏海さんは、普通に会話している会話内容からでも、ぼくの鈍感な運動能力見極め能力からでも、動きや動きのセンスが違うということはわかるような気がします。動きがたしかに速い(文章にあらわれていると思う。動きの描写が的確だと思います。ぼくはあんなにうまくいかない)。

そして、ぼくはドンくさいアマチュアだけど、でも、夏海さん実際の動きにドンクササを感じることがない。何度か話したことがあると思うけど、ぼくは、元プロボクサーだったという友だちにもこのことは共通しています。パッパッと動くというか、そんな気持ちがいいところがある。

ぼくはドンくさいアマチュアだけど、相手の動きに、どこかで、ほんのちょっとしたことでもどこかでドンクササを感じるところがあるんですよ、勝手にね。でも、夏海さんはこっち以上に、このことを先取りしてるみたいに反応が速い。

相撲で喩えても、野球で喩えてもいいんですが、幕下以下の相撲はどうしてもどこか素人っぽい感じがある。高校野球のプレイもプロの野球のようなスッキリした感じがない。初々しいといえばそうだけど、そして良し悪しも別にして、洗練されていないということでしょう。

とまあ、こんなわけで剛柔流空手の奥義について聞きたいんだけど、例によって酔っ払っています。いつも肝心なところで酔っ払うんだなあ、ぼくは。後日、よろしく。

No title

ほのぼのさんへ

そうですね、見た目グロテスクですから、初めての人はウチの嫁はんみたいに目を背けるでしょう。
まあ、機会があったら目を瞑って食べてみるのもいいでしょうが。

昔の親たちは、栄養源=タンパク源と思い込んでいたふしがあるようで、どこから学んだのか(あるいは学校からかも?)、そういうものが食卓へ上がっていましたね。

No title

DAIKさんへ

昨日今日と雨模様、秘密基地はまた別の顔があって楽しいでしょうね。

鉄腕ダッシュ、ボクも観ていましたよ。
地蜂穫りは特別なものではありませんよ♪
あれはたぶん、番組上、ショー化しているのでしょう。そんな風に観てました。

ちなみに、ボクの父は何でもやっていました。
小さな家くらいは自分で建てていたし、家畜の解体や味噌、醤油、豆腐、酒(この場合は密造酒)も。どこの田舎のオヤジも、そうするしかなかったんです。

まあ、地蜂穫りなどは一種のリクレーションみたいなものだったのでしょう。


No title

nineupさんへ

あまり考えない傾向にあるボクに、説得力はないですが、nineupさんは考え過ぎるところがあると思っていました。「考え過ぎるとロクなことがない」などと悟ったわけではなくて、単に「深く考えられないから」とか、「考えが浅い」に近いかな、ボクの場合。

まあ気楽に、「素」でいきましょうよ。

甲野善紀氏については、殆ど知識はありません。元巨人投手の桑田が教わっていた、くらいな程度です。

ましてや「剛柔流」の奥義などという知識はまったくないですよ。ボクが空手を始めた動機は、ケンカに負けたくないから。実に不純なものでしたから。

空手の流派はたくさんあります。「剛柔流」の他には有名な「極真会(あの大山倍達の」とか「手刀流(本流は沖縄空手)」とか、似たようなネーミングで「手東流(芦原空手)」など。

大学時代に「手刀流」の道場に通っていた友人がいましたが、その人がいうには、実践には「極真」。それに比べ「剛柔流」は見せ物的だと。
これも言えなくもない。カタは一種、舞踊的で華やかに見える。方や「極真空手」は常に実践主義ですから。

ボクは、同じ年代層から比べてみれば、少しは運動神経がある方だと思いますが、nineupさんの言う「典型的な一般人」ですよ。貴兄と何も変わらない。

確かに、学生時代(早くは小学生から)に非凡な能力を持った生徒はいましたし、中学、高校と彼らは我々凡人とは比べ物にならないくらい飛び抜けていました。

本人の努力も当然あったのでしょう。でも、それ以上に育った環境なり、極端にいえばDNAの問題が大きかったりするのかも知れません。

今まで(学生時代含めて)色んなスポーツをしてきました。バスケ、軟式野球、バレー、バドミントン、空手、陸上(短距離)・・・。
足腰が強かったので、高校時代に、相撲部の選手を投げ飛ばしたこともありますし、器械体操の選手の前で、初めての「吊り輪」を自力で上がり、いきなり「脚前挙」や倒立して、びっくりさせたこともありますが、せいぜいその程度です。

それ以下でもなく、それ以上でもない。ただの凡人ですよ。
お互い人生半ばを過ぎて、体力も見た目も下り坂。
大した変わりはない、そういうことです。




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