昔遊びと悪ガキ

キラキラとした別世界。・・・今考えると、これほど外の世界が魅力的に感じた時代はなかった。

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三角乗りのその後。

2009.06.13 (Sat)


sannkaku2.jpg

その頃は存在すら知らなかった。しかし、どこか記憶の片隅に残っている三輪車も子供用の自転車も、ボクたちには無縁の恵まれた家庭での持ち物で、そういうものに乗っている子どもを目にすることは、まず、なかった。三輪車を経て、不安定な二輪車の後ろを支えてもらいながら練習する微笑ましい風景を見るのは、ずっと後のことである。

このブログの冒頭に記載した「三角乗りは、男の通過儀礼」は、まさに昭和30年代にかけて見られた物語である。
ただでも重たい鉄の塊のような大人用の自転車を、丸坊主頭のガキが乗りこなす姿は、珍妙以外のなにものでもない。「三角乗り」とはよく言ったものである。

一見、サーカスでもしているかのような離れ業は、ボクたち子どもにとって、大人への憧れというべきか、一人の”男”への登竜門であったと思う。これを乗りこなせるかどうかが、男の価値につながるのだと思い込んでいた。

子どもが背伸びしてやっと届く、そんな自転車のハンドルを「死んでも放すものか」と、キッと握る。大人たちは、そういう子どもの真剣な表情を、頼もしくさえ感じたであろう。

軽くて扱いやすい今の自転車とは、比べものにならないほど重量感と威圧感があった。これを扱って、もし転んだとしたら、ただの擦り傷切り傷では済まない。つまり、最悪の事態をも覚悟しなければならないほどの代物であった。

構造はと言えば、ペダルからV字型に支柱か出ていて、その先っぽには水平に柱がつながっている。専門的には、V字型の後ろ、つまりペダルからサドルにつながっているのが「シートチューブ」で、前は「ダウンチューブ」。水平の柱、つまりサドルから前輪を支える柱につながっている「トップチューブ」で、この三本の柱が三角形を成している。

今でもこの形はスポーツタイプに見られるが、その頃は、どの自転車もこの形であった。
こういうものに乗って走るには、トップチューブを跨いでサドルに乗り、ペダルを漕がなければ前進しない。だが、トップチューブを跨がずに前進させる方法が、ひとつだけあった。「三角乗り」である。

高学年になると、サドルに乗ることができないにしても、両手でハンドルは握れる。だが小学生になるかならないくらいの小さい内は、両手ではまず無理である。
ではどうやって乗りこなすのか、想像してもらいたい。

ボクが乗り始めたのは、確か、小学校に入って間もなくであったと思う。その頃には既に、多くの同年代の子たちは傷だらけになり、タンコブを作りながら、夢中で格闘し始めていた。
この「三角乗り」は誰に教わるものでもなく、一種伝承的なものがあった。手取り足取りなどという、微笑ましさは一切ない。

初めはションベンちびりそうになるくらいの恐怖があった。自分の体重より遥かに重いし大きい。下手をすればペダルに股間を打ち付ける。チェーンに挟まれる。転べば鉄の塊に潰され、勢いに引きずられることしばしば。

さて、その珍妙な乗り方である。
まず、左手で左のハンドルを握り、右手でサドルかトップチューブ持つ。この時点で、右手は右ハンドルに届かない。次にその格好で、左足を左のペダルに乗せ、自転車を少しだけ右へ傾ける。ここが一番難しい。バランスをとり損ねると、鉄の塊もろとも転倒してしまうのだ。

バランスをとりながら、すばやく三角コーナーへ右足を滑り込ませる。右足はすぐに右のペダルに置く。踏み外してしまえば、それこそV字型の底に股間を打ち付けてしまうし、そればかりではない、そのままの格好で暴走するのだ。

うまい具合に両足をペダルに乗せられても、前進するとは限らない。つまり、ペダルを回転させない限り前に進まないのだが、回転させるには足の長さが足りないのだ。それで、半回転させると一旦戻して、また半回転させる。これを繰り返すのである。

ただ、一度出たスピードは、なかなか止められるものではない。「そのためにブレーキがあるだろう」と思うだろうが、こういう格好で操縦している限りバランスがとりづらく、迂闊にかけられないのである。軽量な子どもだから、ブレーキひとつでペダルから足を滑らせ、大事故のもとになるのだ。
要するに、止まる時にすばやく右足を三角コーナーから抜いて、両足をブレーキがわりに滑らせるのが、一番無難なのだ。



話しがいきなり飛ぶが、ボクが中学生になった時、都会に出ていた姉が休暇で帰っていた。都会で栄養豊富な生活をしていたのか、その頃の姉は、パンパンに肥えていた。しかも自転車に乗ることができなかった。

ある日、隣町まで買い物に出かけることになった。重い姉を後ろの荷台に乗せる。軽量級のボクは、前輪が浮くことに不安を感じた。それに女特有の横座りだから、アンバランスなことこの上ない。案の定、蛇行を繰り返したが、一旦スピードが出てしまえばと思い、そのまま発車した。

隣の家の前にさしかかった時である。急にハンドル操作が軽くなったと同時に、何か物音が聞こえた。自転車を止めて後ろを振り向くと、ハンドル操作が軽い筈であった。今までいた姉が、忽然と消えていたのである。ボクは自転車を止め、恐る恐るもと来た道を引き返した。

アスファルトの道路と、コンクリートブロックを積み上げた壁の隙間。その隙間の溝に、巨大なイモムシのような物体がうずくまっていた。悲鳴を上げながら。


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コメント

No title

御免なさい
お姉さまの話
思わず笑ってしまいました。
不謹慎かな!!!

No title

fumiko1177さん

いいですよ、思いっきり笑ってください。
実を言えば、あの時現場で大笑いしたんです。
擦り傷だらけの上、マスカラが涙で溶けて、目のまわり真っ黒な姉を助けようともせずに。

No title

馬さん ♪

こんばんわ。


△海苔  ( さんかくのり と 入力したらこうでました。 ははh です。 )

さんかくのり を しってる 世代 って 
あぁ 仲間なんだな・・・って 。 
そうおもいます。

わたしも 三角乗りしたことあります。
なつかしいね。


そうそう、 馬さん ( で いいよね。) の
息子さん、 すごいんですね。
あらためて 尊敬です。

やっぱり 音楽は いいです。

No title

りんりんさん、馬より。

△海苔。
これは面白い♪♪♪♪♪♪♪♪♪
何か使えそうですよ。

>わたしも 三角乗りしたことあります。
って、りんりんさんはそういう世代なんですか?
意外だなあ、ずっと若いと思ってた。
(すみません!)

息子・・・、全然すごくないですよ。
この程度なら、履いて捨てるほどいます。
そりゃ「売れて欲しい」と思って、東京行って売り込んでますけど、難しいでしょうね。
本人は30才を区切りにしてるみたいですけど。

音楽できるって、ほんと、いいですね。
ボクなんか、もろ体育会系ですから、まったく縁がなかった。あ~~~あぁ、音楽やっときゃよかった。


No title

こんばんは♪
さんかくのり・・・男子はよう、しとりましたね。
ははは・・・・・お姉さん、痛かったね。
やっぱり、笑うよねぇ~

No title

ほのぼのさんも、体育会系でしたよね。
普通の男の子より運動ができたと思うし、すごく活発だった気がします。
今は知りませんよ。

あなたも三角乗りしたでしょう?
どっちか言うと、率先してやってたような・・・。

あの後、姉は大変でしたよ。
溝から引き上げるのに、ボクより重いからどうしようもなくて、かといって人を呼ぶには恥ずかしいし。
泣き止まないし、顔中マスカラで真っ黒で、
こっちは笑いが止まらないから、余計にチカラが入らないときている。


No title

あ~ら♪

ずっと わかいと 思っててくれて
うれし~~~ ♪ です。

あははh。


なんせ マゴちゃんが 二人もいるのです。
本人は わかいつもりでも まわりが
そうさせて くれません。。ははh

No title

お孫さん、二人も?
それは可愛いでしょね。
そう言えば、我がバカ息子、結婚してるけど
できないですね。
聞けば、欲しくないとか。

まあ、じいさんという歳でもないし、柄でもないので
ずっとそのままがいいのかも?

あっ、この間のロッカーは次男です。
あしからず。

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