昔遊びと悪ガキ

キラキラとした別世界。・・・今考えると、これほど外の世界が魅力的に感じた時代はなかった。

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不幸な笑い。

2010.02.21 (Sun)

tigaya.jpg


雪国で生まれ育ち、寒さには滅法強かったが、今のボクは、都会の生活にドップリと浸かったせいで、この時期の寒さが堪えるようになってしまった。厳冬期でも浴衣一枚で過ごせたこともあったというのに。

それが、いつの日か逆転してしまった。環境の変化に適応したというのも理由だろうし、歳のせいでもあろう。人生の半ばを過ぎて、第二の人生は「どこかで?」と考えたならば、それはもう決めている。できるだけ暖かい(暑いだけはごめんこうむるが)田舎で、毎日、海を眺めて妄想しながら暮らすのだと。

そういう話しはともかくだ、今、列島のあちこちで、梅の開花を知らせる映像が流れるこの時期、農家も長い眠りから目覚める。

桃の節句が過ぎる頃、冬の間出稼ぎしていた父が帰ってくる。そして、その疲れを癒す暇もなく、野良へ出ていった。霜柱が畦道を覆い、ぬかるんだ圃場に張った氷が、パリパリと音をたてる。雪の重みで潰れた水路を修理する。荒起こしする前の土手に火をつけ、野焼きをする。

田んぼに肥料を施し、畑に石灰を撒く。並行して種モミを麻袋に入れて、手が切れそうなくらい冷たい川に浸ける。発芽を待つ間に、田んぼの一部を耕して苗床を作るのだ。

ボクが小学校へ入学する頃までは、田畑を耕すのに牛の手を借りてやっていたが、燃料さえあれば自在に操れる耕耘機が登場した。それでも、耕耘以外の作業は殆ど人力であった。肥料や農薬の散布はもちろん、代かき、田植え、そして除草から稲刈りまでの総て。

ボクはそういう父の背中を見て過ごした。耕耘機の荷台に載せてもらい、舗装されていないガタガタの砂利道に揺られながら通う日々。ただ、父の後を追い、畦道で一人遊びしながら眺めるだけの。

父が田んぼの中で忙しく動き回る間、ボクは畦道を行ったり来たりした。野焼きした後の焦げた雑草に、早くも新しい芽が伸び始めている。フキノトウの群生があった。チガヤの若芽が顔を覗かせる。そのチガヤの芽をつんで、口の中へ放り込む。

青臭い香りが口中に広がった。
このチガヤを、ボクたちはチューインガムの代用として、ムシャムシャと噛んでいた。お世辞にも美味しいと言えるものではなかったが。

チガヤを頬張り、父の後を追い、畦道を歩き回った。そんな時だった。不幸にも畦で足を滑らせて尻餅をついた挙げ句、下の田んぼへ転落した。

代かきの前だったのが幸いしたものの、水たまりにヘッドスライディングするかたちになった。刺すように冷たい泥水が身体中に侵入してくる。慌てて水たまりで顔を洗った。ぬれた手で身体をはたいて泥を落とす。ついでに尻もはたく。が、何やらネットリしたものが手にまとわりついた。

泥だと思った。そう思い込んだまま何度も尻をはたいた。暫くして言いようのない異臭が漂い始めた。そして、注意深く茶褐色に変色した手を嗅いでみた。

ボクはその臭いに、思わずのけぞった。あまりに刺激的で、脳みそへも悪影響しそうなその元凶を、いっそ斬ってしまいたいほどであった。

暫く、呆然と手を眺めた後、ようやく青みがかった土手の雑草で、それをネシクリ(但馬地方の方言で「こすりつけて拭い取る」こと)、水たまりへ走った。不幸な出来事ではあったが、自業自得と言うべきか。異臭の元凶をつくったのが、他ならぬ自分であったのを、一瞬にして覚った。

あれは、秋の収穫が終わりつつある頃のことであった。村人たちの協力で行われた稲刈りの最中、ボクは、どうにも我慢ができなくなり、刈り取りの終わった畦でしゃがみ、大のものを放出してしまったのだった。



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コメント

No title

おいおい、ワルガキよ。

ぼくはこういうワルガキの生理が好きです。(ぼくがそんな勇気がなかったからかもしれませんが。)

理屈も何もなくただひたすら、たとえばイタズラをやりたい‥みたいな気持ち。ぼくも幾つかはやったかもしれませんが、いつの頃からか、おとなしくなっていた。

ワルガキの生理を(理屈にはならないけれど)主張し続けましょう。

‥非ワルガキより。

No title

nineupさんよ、勇気があったからではなくて、理性に乏しかったと言うべきでしょうね。
人のやることを見ながら「こんなんやったら、おもろいちゃうやろか」とか、「びっくらこくやろな」などと思った次の瞬間、もう実行してた。そんなガキでしたよ。

No title

これって、自然がよんでるーやつですよね。
顛末は天罰としか、思えませんよ。
でも、昔は、ほんと、なんかしらんけど、よかった、ほのぼのとしてて。
今の子どもはせんのでしょうね。

No title

ほのぼのさんへ

「顛末は天罰」か!
畑の栄養になると思ったんだけどな。
今はあまり見ませんが、その当時は家畜や人のモノが、そのまま肥やしになっていたでしょう。たとえば、白菜やキャベツの葉っぱに、べっとり張り付いていたりね。それを、せっせと食していました。もちろん丁寧に洗ってからだけど。

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