昔遊びと悪ガキ

キラキラとした別世界。・・・今考えると、これほど外の世界が魅力的に感じた時代はなかった。

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夢の中の祭囃子

2010.07.19 (Mon)


あの日のことを思い出す度に、ボクの中で祭囃子が鳴り始める。
トントコトン、トントコトン、トントコトントコトントコトン・・・

あれはいつだったか。
小学生になっていたのか、それともまだであったか。
母はその頃、すでに心臓を患っていた筈である。しかし峠越えができたくらいだから、まだ体力は残っていたのだろう。

土用の丑の日を迎えると、祭の便りが急に増えてくる。
真っ青な空に入道雲。風鈴の音。揺れ動く団扇と下駄履きの浴衣姿。金魚すくいにヨーヨー。りんご飴と綿飴。ニッキと黒ボウ。ランンイングシャツに学帽・・・

ボクの記憶画面は、いつも大人の腰から下の世界であった。
大人たちの間を縫うように走る。壊れたレコードのようにその間を行ったり来たり。時間は止まったままだ。

ある瞬間、櫓の輪から子ども姿が消えた。
打ち上げ花火の音に、思わず振り向く。
けたたましい爆竹の爆裂音が響き、白い煙が大人たちの間を這った。
蝉の鳴き声は、やがて細くなって祭音頭がこだました。

真っ白に白粉を塗った大勢の狐が、櫓を囲んだ。
そして、和太鼓の乾いた音が頭上で響く。
トントコトン、トントコトン、トントコトントコトントコトン・・・

母に連れられて行った先は、母の実家にほど近い神社の境内であった。山のような櫓に和太鼓が置かれて、赤銅色に日焼けした若者が櫓を囲んでいた。白狐たちが、コーンコーンと飛び跳ねる。

母の実家は、ボクの生まれた村から更に山越えしなければならなかった。コースは2つ。ひとつは隣の温泉町を経由して行く「楽々安全コース」。いまひとつは山越えの「チャレンジ・アドベンチャーコース」である。

温泉町を経由すればバスが使えるし楽であったが、母はせっかちであった。温泉町を経由するコースの半分の時間で済む、山越えのアドベンチャーコースでショートカットするのを選んだ。

険しい山越えである。土地勘がなければ、まず遭難は必至。それに当時、噂されていた事件に巻き込まれるおそれがあった。事件現場はヨーカン林であった。

ヨーカン林はボクの家と母の実家の、ちょうど中間にあった。ということは、つまり山の中である。
ヨーカン林は、大きな杉木立の森で、昼間でも薄暗かった。杉林の地面には陽が殆ど届かないから、雑草も少なく、数十センチ幅の山道が見て取れた。

母や村の人たちが言うところの「事件」とは、こうであった。

ある旅人が、このヨーカン林にさしかかった時、絶世の美女と出くわした。女性は草履の鼻緒を切って困っている。旅人は見るに見かねて修繕してあげた。女性はそのお礼にと、隣村で求め持っていた包みを旅人に渡した。

包みの中は村の名物の羊羹だという。旅人は、一度は断ったものの結局受け取った。旅人は、反対方向へ去る女性を見送って、先を急いだ。村の茶店が見えてきた。

茶店で腰を下ろし、汗を拭う。汗が出るのは険しい山越えばかりではなく、女性から受け取った羊羹のせいでもあった。旅人は、茶をすすりながら、懐から包みを出した。

疲れた時ほど甘いものが欲しくなる。旅人は好運であった。
しかし、事件は次の瞬間起こった。
羊羹であった筈の包みの中味が、なんと、牛の糞に化けていたのだ。
旅人の脳裏に祭囃子が聞こえていた。
トントコトン、トントコトン、トントコトントコトントコトン・・・



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コメント

トントコトン、トントコトン、トントコトントコトントコトン・・・

夏海 漁様 こんにちは
「トントコトン、トントコトン、トントコトントコトントコトン・・・」は、思うに、こう言っていたのですね。
「鼻の下 伸びよって 牛の糞でも持たしたろ・・・・」
善意のおっさん(と決めて掛かっています)はとんだ災難でしたね。
《羊羹》がホカホカ温かかったので、汗も一入でしたでしょう。
ひり立ての牛の糞をを大事に抱えて・・・・・・・・・

狐君も人を騙すのに随分手間を掛けたものです。
牛がヒるまで、それを待っていたのですね。

狸君ならどういう風に騙してくれるのでしょうね。
ポンポコポン ポンポコポン、ポンポコポンポコポンポコポン・・・

ぶちょうほうどの、こんばんは。
コメント有り難うございました。
ぶちょうほうどのは関西弁よくご存知で。

「ヒリ」立て・・・・
ああ、懐かしい響き!!!
こういう言葉には非常に敏感でしてね、
思いだすと同時に、エピソードが浮かんでしまいましたよ。

このような昔話をたくさん母から聞いていたのに
殆ど忘れてしまいました。
何かがきっかけで思いだしたりするんですがね。
また思いだしたら書いてみますね。


こんばんわ
村岡か 美方 ????
すごいね 山越えするなんて
お母さんは偉い!!!!
家のばあさんは城山の狸に騙されて
牡丹餅たべてると思ったらうんちだったと
いつも話してました。

教えて

fumikoさん、こんばんは。
今、美方って言うんですか?
昔は「照来」とか「丹土」とも言っていました。
城山で騙されたおばあさんの話し、昔はよく聞きましたね。
どこにでもあるんでしょうね。
他にどんな昔話があったのか、思い出したい。

ありがとう。

いや、じつは、またまた今日「退院」でした。つまり入院の付き添いをやってました。

今度は「肺炎」ということでした。
考えてみれば、心臓病(狭心症、不整脈)、骨粗鬆症(圧迫骨折)、そして、肺炎。高齢者病のオンパレです。(じつはガンもあるんですが(P53抗体検査)、ヘンなもので高齢者ではガンの進行が遅く、抗体検査の結果がどんどん良くなるという奇妙なことになっている。)

4月の後半から、ときどき退院して自宅生活もあるものの、なんとなくず~っと病室生活みたいな感じがしていて、正直言って、母もぼくもクタクタ、入院に疲れ果てているといった感じです。病院のハシゴなんてねえ。


夏祭り~、かあ。

大阪の藤井寺から多少あるんだけど、まあ、あのあたりに親戚がいて従兄たちがいました。今は何てことない住宅街だけど、ぼくの小学生の頃はかなりの田舎だった。

夏休みによく遊びに行ってましたが、そこで夏祭りというか盆踊りがあったことを記憶しています。その印象はね、ある種の暗闇なんだなあ。もちろんいくつもの電灯が盆踊りの広場には吊るしてあるんだけど、とはいえ「暗い」んですよ。

周囲は田舎だから、基本的に真っ暗です。ここに盆踊りの広場だけがぼんやりと浮かびあがっている。で、とくに明るいある部分があって、そこに西瓜なんかの果物がいっぱいあるわけですよね。お地蔵さんだったんだろうなあ。

イメージ的には、ぼくの目からはシルエットの逆みたいな感じで、近くの人の着物の柄や色だけがくっきりとしていて、それが踊っている。ちょっと離れたところの人や、目の前の人でも細部は暗いというか黒いというか、こんな感じでした。

お祭の解放感と魅力って、ぼくはあの暗闇とともにあるように思います。感じとしては、江戸時代の四国の画家の「絵金」っていたでしょ。ちょっとケッタイな感じの絵を描く人。この人の世界に近いものを感じていたみたいです。

小学生の頃、大阪市内での祭りも経験してますが、夜でもどうしても明るいんだなあ。また、都市での祭りは夜店が主役になっていた。

さんきいちさん。

心配事が、またひとつ増えたんですね。
でも、侵攻がないのは幸運ですよ。

祭り好きじゃないけど、田舎の夏祭りはいいものですよ。
盆踊りも好きじゃないからやりませんね。それより、雰囲気が楽しいから、夜店をグルグル回ったりするのは、今でもよくします。
ボクの実家の祭りも、松明と灯籠の明かりだけです。村は真っ暗闇だけど、そこだけは明るく、遠目で見ると狐かタヌキが集まっているように見えて、なかなか雰囲気があります。
大阪でも、各公園で時々盆祭りやってますが、なんだか義務的が感じがするし、だいいちビル街でしょう。情緒がまったくない。

横レス 失礼

今夏のゴーヤ栽培は中止しましたが、散歩でのゴーヤ写真、見事だった。僕の経験では、土に固形栄養と朝と夕方の水遣りが必要だった。
自転車での「通勤日記」から大阪都心部の自転車散歩などは、貴君ならば面白い企画と思う。
僕も身体を動かす健康は三日坊主。でも、股割りと自転車散歩そして駅など階段は歩くが原則です。
それにしても暑すぎる。貴方と同じようにクーラーを使わないので、一日に二回以上は下着を着替えます。
それでも、びしょびしょです。
さんきいちさんの書き込みがあり、元気なことが分かり安心しました。

泥酔どの

ゴーヤに限らず、他の作物も今年はうまくいきません。春に種を蒔いて、芽が出た時期に異常気象で壊滅してしまい、土も入れ替えて再度、種から育てたものの、今度は多湿期間が長かったでしょう。キュウリはうどん粉病にかかり、湿気を嫌うトマトにおいては、無残な結末でした。
股割りですか。ボクには特に不向きな運動です。筋トレをやっていたころから身体が滅法硬くなってしまいましたから。でも、筋力を保つにはいいトレーニング法だと承知しています。

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