昔遊びと悪ガキ

キラキラとした別世界。・・・今考えると、これほど外の世界が魅力的に感じた時代はなかった。

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ホタルと蚊帳

2013.09.17 (Tue)

まったく時期外れな話しだが、2年続けてホタルを見なかったこともあって、ついつい忘れていた。忘れていたのはホタルであって、そのことを思い出したら、ついでにまったく古い記憶が蘇ってしまった。


P1040026.jpg


八畳間の四隅には、鴨居の高さに太い五寸釘が刺さっていた。普段はちょっとした荷物とか、父たちの作業着が吊るされていたのだったが、この季節になると蚊帳のフックが掛けられた。エアコンやクーラーがまだ普及されていなかった、昭和30年代の当たり前の風景である。

蚊帳の線香臭いにおいはあまり好きではなかったが、それ以上にワクワクしたものを感じていた。
その頃は、少なくともボクの田舎では、キャンプなどのアウトドアライフといった言葉は存在していなかったのだが、サバイバル的日常が、おそらくそのままアウトドアライフとして、敏感に捉えていたに違いなかった。

幼児期は蚊帳の上に乗って遊び、蚊帳とともに落下して、じいさんに殴られる事件はあったが、それはそれとして、どれも楽しい思い出であった。
特にこの季節、蚊帳を通して見る外の風景は美しかった。
暑い日中が夜ともなれば、涼しい風が開け放たれた縁側から入り、蚊帳を揺らした。青白い月の光りが辺りを照らし、乱舞する蛍の光りが幻想的な景色を映し出す。

蛍の生態については、分からないことが多い。地球温暖化が原因かどうか、大雑把なことを言うつもりはないが、6月の中旬から梅雨のシーズンには終わってしまう地方もあるように、少しずつ早まってきていると思われる。ともかくボクの住んでいた山陰の山奥では、梅雨の盛りから夏の前半、つまりお盆の頃にかけてがシーズンであった。

夏休みが始まると、村の子供会で毎晩、夜警に出かける。夜警は夜番とも言って、拍子木を打ち鳴らし「火の用心」と連呼しながら村じゅう練り歩くものである。ボクはその夜警が大好きで、小学生に混じって歩いた。
さっさと夕食を済ませ、拍子木の音を、今か今かとひたすら待った。拍子木は年長者が持ち、その後に年少の子どもたちが続いた。手に手に蛍捕り用のグッズを持って。

蛍捕り用のグッズは、小豆の穂を束ねて竹竿の先に取付けたホーキ状のモノと、手製の虫かごである。
田舎の道だから街灯ひとつない。蛍が乱舞し、まるで昼間のように辺りを照らすのだから、懐中電灯などは必要なかった。

何千匹、あるいは何万匹もの蛍が夜警の列にまとわりついた。青白い光りを点滅させながら闇を照らし続ける。青々とした稲穂から、道端の雑草の中から舞いたち、幻想風景を描いた。

子どもというのは実に残酷なもの。数日で息絶える儚さをしることも、風流を味わう大人心も持ち合わせていない。夜警とも蛍狩りとも判別つかない集団はやがて解散し、ピカピカと輝く虫かごを手にして帰路につく。
蚊帳の中に放たれた蛍は、出口のない闇の中で乱舞する。そして、開け放たれた縁側から、誘われるように仲間たちが集まってくるのであった。

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